長期運営計画について

厚生年金基金の
財政運営の弾力化措置について

世界的な金融危機に端を発した株価の下落等、100年に一度といわれる運用環境の悪化の影響を受けて、平成20年度の厚生年金基金の平均運用利回りはマイナス20.76%(企業年金連合会・資産運用実態調査結果)となり、約8割の基金が財政検証の基準に抵触して、積立不足による掛金率の引き上げが避けられない状況となりました(企業年金連合会・企業年金実態調査結果)。 このため、厚生労働省では企業年金連合会等からの要望を受け、掛金引上げの猶予や不足金の算定方法の変更等「厚生年金基金の財政運営の弾力化措置」を講じることとなり、関係通知の改正等が施行されました。

財政運営の弾力化措置

①掛金引上げの猶予(長期運営計画の策定)

平成20年度決算時の財政検証の結果、積立不足が生じた場合は、通常であれば平成22年4月1日から掛金率を引上げなければなりませんが、「厚生年金基金の財政運営の弾力化措置(掛金引上げの猶予)」により、基金が長期的に持続可能な事業運営を図るための「長期運営計画」を策定し、厚生労働省に提出(提出期限:平成22年2月末日)することを条件に、掛金率の引上げを最長平成24年4月1日まで2年間猶予できる特例措置が設けられました。

当基金は、平成20年度決算において非継続基準を満たしていないため、平成22年4月1日からの掛金率引上げの対象となりましたが、赤十字事業を取り巻く環境が厳しい中で、大幅な掛金負担増は困難なことから、「弾力化措置(掛金引上げの猶予)」の適用を受け、「長期運営計画」を策定のうえ掛金率の引上げを平成24年4月1日まで2年間猶予し、その間に安定した年金制度、年金財政のあり方について検討していくこととなりました。

この「長期運営計画」は、極端な運用環境悪化など外的要因による積立不足に対応するものではなく、設立当初(当基金は平成4年10月設立)と比べ、基金を取り巻く環境が大きく変化しているにもかかわらず、制度の見直しが行われていないこと等による構造的な問題点(内的要因)を抱える基金が多く見受けられることから、各基金が十分な現状分析を行ったうえで、事業主と加入員とが一体となって今後の運営方針を真摯に検討し、自ら構造的な問題を解決し、長期的に持続可能な事業運営を図ることを目的として策定するよう求められています。

厚生労働省のガイドラインでは、具体的な検討項目として次のような点が挙げられています。

当基金では、代議員、加入員の代表で構成される「厚生年金基金等の制度のあり方検討委員会」および「厚生年金基金等の財政・資産運用のあり方検討委員会」での検討経過等も踏まえながら、平成22年2月開催の代議員会での審議を経て、「長期運営計画」を厚生労働省あてに提出することとしています。

なお、企業年金連合会の企業年金実態調査結果(平成21年7月実施)では、基準に抵触する基金の56.2%がこの掛金引上げの猶予の適用を予定しています。

掛金引上げ猶予のスケジュール

掛金引上げ猶予のスケジュール

②継続基準抵触時に解消すべき不足金の減額(下方回廊方式の導入)

決算時の財政検証で継続基準に抵触した場合、通常は不足金全額を解消するために掛金率を引上げる必要がありますが、平成20年度から平成23年度までの決算では、解消すべき不足金は許容繰越不足金を上回る部分まででよいこととする特例措置が設けられました。

平成20年度決算時の財政検証(継続基準)

③最低責任準備金の算定に用いる利率の見直し(期ズレの解消)

国の厚生年金保険の代行部分の債務である最低責任準備金の算定に用いる利率(利率が高ければ債務は増加し、低ければ債務の増加が抑制される。)は、前年度の厚生年金本体の実績利回りの確定を受けて例年12月に決定され、翌年1月から12月まで適用されていました。

このため、厚生年金本体の実績利回りが、最大1年9ヵ月遅れて基金の最低責任準備金の算定に用いる利率として適用される、いわゆる「期ズレ」が生じており、基金の運用の下降局面(マイナス運用)においては、運用環境が良かった1年9ヵ月前の厚生年金本体の実績利回り(プラス運用)を基に最低責任準備金(代行部分の債務)が算定されるため、基金の不足金が拡大し、基金の母体企業にとっても業績の悪化時期に積立不足解消のため掛金負担増を強いられるという問題が生じていました。

この「期ズレ」の問題を解消するために、厚生年金本体の実績利回りを現行より1年9ヵ月前倒しして適用し、基金と同年度の実績利回りを基に最低責任準備金を算定のうえ、現行の算定方法による最低責任準備金との差を調整金として計上することによって解消すべき不足金を減少させ、掛金率の引上げ幅を抑制する弾力化措置(恒常的な措置)が設けられました。

平成20年度決算時の財政検証(継続基準)

平成20年度決算時の財政検証(継続基準)

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